謎の女の子
〜7月25日・うごメモ町〜
ケイルは昼食の買い物のため、スーパーに向かう道を歩いていた。
今日も夏空の良い天気。
これならさっき干してきた洗濯物もすぐ乾きそうだな。
「さてと、午後はラナとタグルさんとこの手伝いをして、あと・・・」
「ねぇ君!」
「え?あ、なんですか?」
振り向くとそこには女の子が立っていた。
肩下ほどある金髪、もとい黄髪(?)に、ほぼ全身緑色の服。
背丈はケイルと同じか少し下くらい。
ここらじゃ見ない女の子だな。
でも、何だろう
こう・・・何か思い当たるような・・・
「ねぇ、ちょっと!聞いてるの!?」
「あ、すみません!何ですか?」
「この町にウィック=ドルンっていう男がいると思うんだけど、知らない?」
「ええ、知ってますよ」
知ってるも何も毎日会っている。
何より共に旅した仲間の一人である。
「ウィックに何か用ですか?」
「ええまぁね。今どこに行けば捕まえられるかわかる?」
”捕まえる”?
ケイルは一瞬疑問に思って警戒したが、見たところ危険そうな感じの子ではなさそうだ。
「・・・たぶん今頃だとあっちの森の中だと思います」
「そう、ありがと!じゃあね!」
「あ、でも会えるかどうかわからな「あー大丈夫大丈夫!」
女の子はそう言って、教えた森のほうへさっさっといって・・・と思ったらくるっと振り返って
「このあと雨降るから早く家帰ったほうがいいよ君ー!」
と叫んでまた歩いてった。
雨?
思わず空を見たが、まったく降りそうには思えない。
「・・・一応急ごうかな」
ケイルは急いで買い物を終え、家に帰って洗濯物を取り込んだ。
短時間ではあったがすでにほとんど乾いていたのであとは部屋干しで平気だろう。
そう思っていた時だった。
ザァ・・・・
雲も無いのに勢いよく雨が降ってきた。
通り雨であったので数分で止んだが、かなりの強さだ。
きっと多くの家の洗濯物たちが被害にあったことだろう。
現に、午後はお店の手伝いのほかに、タグルの家の洗濯物をトンと干しなおす羽目となったのだから。
帰り道、そのことをケイルはラナに話した。
「また会えたら礼を言わなくてはだな」
「ああ、そうするつもりだよ。ついでに理由も教えてもらいたいな。今後のためにもね」
普段”です、ます”調のケイルだが、以前旅した仲間とは少し楽に話す。
「結局、その娘はウィックに会えたのだろうか」
「どうだろう、何しろ狩りしてるウィックは見つけにくいからね。全身緑でこの時期保護色だから。」
「そうだなww」
「あ!そういえば明日ってウィックの誕生日だ!」
「そうか、じゃああとで何がほしいかきいてみなくてはな」
「まぁきっとまた、『美味いもん!』とか言うだろうけどねww」
しかしその日ウィックは帰って来ず、翌朝やつれた姿で帰ってきた。
例の女の子と一緒に。
〜つづく〜